08米粉の種類と特性米粉のノングルテンの第三者認証と製造工程管理JAS

ノングルテンの第三者認証

(1)グルテンの定義

小麦粉のたんぱく質の多くはグルテニンとグリアジンが占めています。これらのたんぱく質は水和するとグルテン分子を形成します。
グルテンとは、国際連合食糧農業機関(FAO)および世界保健機関(WHO)の「CODEX STAN 118-1979」では、「小麦、ライ麦、大麦、オーツ麦又はそれらの交配品種及びその派生品種に含まれる塩不溶性タンパク質並びにはと麦又はそれらの交配品種に含まれる塩不溶性タンパク質」と定義されています。
コメはグルテンを含んでいないため、米粉もグルテンを含みません。

(2)グルテンフリーとノングルテン

グルテンフリー食品市場は、麦類に含まれるグルテンにアレルギーをもつ消費者、セリアック病患者(グルテン摂取に起因する遺伝性免疫疾患)、グルテン過敏症(グルテン摂取に起因する非遺伝性疾患)、ダイエット等のニーズにより形成されています。
近年、欧米を中心に世界のグルテンフリー食品市場は拡大傾向にあります。これらの需要を取り込むことで米粉の利用拡大が見込まれます。
そこで、欧米の基準であるグルテン含有量20ppm以下の「グルテンフリー」に対し、日本独自の「ノングルテン」を設定しました。ノングルテンは、わが国の世界最高水準検査法を活用した世界でも類を見ないグルテン含有量1ppm以下の米粉です(図表1)。
これによりノングルテン米粉はグルテンフリー製品と差別化し、より高い安全性を提供します。

図表1 ノングルテン表示と欧米のグルテンフリー表示との比較

ノングルテン表示と欧米のグルテンフリー表示との比較
  1. FDA(米国食品医薬品局)、EC(欧州委員会)等。
  2. 〔セリアック病〕小麦等に含まれるグルテンに対する免疫反応が引き金となって起こる慢性自己免疫疾患。小腸の粘膜が炎症を起こし下痢等を発症。遺伝性の疾患で欧米人に多いといわれている。

ノングルテン米粉製品の普及に向け、製造業者の自主的な取組みを推進するため、2017年に農林水産省は米粉製品の普及に向けた表示に関するガイドライン(https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/index-56.pdf(PDF409KB))を策定しました。

(3)ノングルテン表示に関するガイドライン

米粉製品の普及に向けた表示に関するガイドラインでは、事業規模の大小に関わりなく、すべての米粉製造業者および米粉加工製品の製造業者が対象となります。

1)表示の適用対象

本ガイドラインは次の製品に適用します。

  • グルテン含有量が1ppm以下の米粉
  • ノングルテン米粉を主な原料とし、当該米粉以外の米粉、グルテンおよび食品表示法(平成25年法律第70号)により表示が義務づけられている範囲の「小麦」を含まない加工製品

2)表示事項

ノングルテン米粉製品には「ノングルテン(Non-Gluten)」の用語を表示します。なお、表示に当たっては、グルテン含有量が1ppm以下の製品である旨を付記します。
ノングルテン米粉加工製品は、原材料としてグルテンおよび小麦を含んでおらずノングルテン(Non-Gluten)の米粉を使用している旨の表示をするものとします。
これらの表示に当たっては、ノングルテン第三者機関の検査を受けることとします。

3)グルテンの検査方法

グルテンの検査方法は、「食品表示基準について」(平成27年3月30日消食表第139号消費者庁次長通知)の別添「アレルゲンを含む食品の検査方法」の別添に定める特定原材料等の定量検査法を準用します。

(4)ノングルテン米粉認証制度

2017年6月、川上から川下までの関係者が一丸となって、米粉の国内外需要を創造する「日本米粉協会」が発足し、同会において、「米粉製品のノングルテン(Non-Gluten)認証」制度が構築されました。
米にはそもそもグルテンが含まれておらず、グルテン含有量1ppm以下とするには、製造工程を管理し外部からのグルテン混入を防止すれば良いことになります(ノングルテン米粉製造マニュアル参照https://www.komeko-life.com/ebook/nongluten/index.html[外部リンク])。同制度は、このように管理された米粉製品や米粉製造工場が認証機関により認証される仕組みとなっています。認証要件は以下の通りです。

  • ノングルテン米粉が主たる原料であること
  • 小麦(特定原材料)不使用であること
  • きちんとした衛生管理の手法(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理による製造等)であること
  • 日本米粉協会による講習会を受講していること

米粉製品のノングルテン認証制度につきましては、認証機関である(一社)日本環境保健機構のホームページ(https://nongluten.jp/about/[外部リンク])をご参照ください。
グルテン含有量が1ppm以下であること等が確認され、認証を受けた製品には、図表2のノングルテン米粉認証マークを表示することができます。

図表2 ノングルテン米粉認証マーク

ノングルテン米粉認証マーク

海外を中心としてグルテンフリーに注目が集まるなか、認証取得事業者の製品と海外のグルテンフリー認証商品との明確な差別化を図り、国産米粉の販路拡大につなげます。

ノングルテン米粉の製造工程管理JAS

(1)製造工程管理JASの制定

ノングルテン米粉の製造を行う事業者の管理方法の基準を規定した「ノングルテン米粉の製造工程管理JAS」が2020年農林水産省により制定されました。
製造工程管理JASの認証を取得するには、グルテンおよびグルテンを含む穀物等の混入する可能性のある箇所を特定し、最終製品のグルテンの含有量が1ppm以下となるように工程を管理し、管理方法は定期的に検証し、改善することが義務づけられます。
ノングルテンJAS認証につきましては、日本米粉協会のホームページ(https://www.komeko.org/jas/certification.html[外部リンク])をご参照ください。

(2)製造工程管理JASの認証

ノングルテン米粉の製造工程管理JASを取得したい米粉製造販売時業者は、農林水産省が制定等を行った規格に従って登録認証機関((一社)日本農林規格アライアンス〈JASCERT〉)に申請します。概要につきましては、JASCERTのホームページ(http://jascert.or.jp/veriousjas/nongluten/[外部リンク])をご参照ください。
認証されると、図表3のノングルテン米粉の製造工程管理JASマークを事業者の広告やホームページ等に表示することができるようになります。認証を取得した米粉製造事業者は、高い製造工程の管理能力をアピールすることができます。

図表3 JAS(日本農林規格)マーク

JAS(日本農林規格)マーク

参考ウェブサイト