04米の機能性健康志向で注目される米
1健康志向で注目される米とは
米の消費量が減少していく一方、健康志向の高まりを背景として、米についても健康機能性を訴求する商品群についての関心が高まっています。
たとえば、玄米や麦ご飯、雑穀ご飯などで、白米よりも食物繊維やビタミンE群などの含有量の高さを訴求しております。高齢社会の進展や食生活の欧風化にともなうメタボリックシンドローム予防意識の高まりなどが健康志向にもつながっているのでしょうが、これらの健康志向で注目される米は、消費者心理を捉えるビジネスチャンスの一つと注目されています。この動きは、発芽玄米が誕生した2000年頃から始まったといわれておりますが、TVなどの健康情報番組に代表されるメディア露出の影響もあり、拡大基調にあるものと考えられます(図表1)。
図表1 家庭用「健康米」市場推移

注:総合スーパー、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストア対象。
グラフは米として販売されているものだけで、パックご飯や冷凍米飯など加工品は含まない。
(1)多様な商品が市場を形成
とくに最近では、絶え間ない技術革新により、見た目や味は白米同様ながらも、機能性成分においては玄米や胚芽米に匹敵する米商品群のほか、「食べにくい」「炊飯に手間がかかる」などといった玄米の欠点を解消した加工玄米商品群、玄米食用専用品種などを用いた商品群など、多彩な商品が発売され、市場をけん引しています。
大手市場調査会社のデータによると、白ご飯と玄米・雑穀(精麦を含む)ご飯の食卓出現率は、2013年を100とすると、2022年が白ご飯で88、玄米・雑穀ご飯は158となっており、トレンドが変化していることがわかります。年代別では、20~30歳代が10%未満に対し、50歳代17.4%、60歳代17.5%(22年)と、メタボが気になる世代の出現率が高くなっています。
また、はくばくが行った市場調査では、米を毎日食べている人の割合が、雑穀ユーザーが88.2%に対し雑穀ライトユーザー76.3%、ノンユーザー72.6%となっており、雑穀ユーザーはご飯食の頻度が高いことがわかりました。
(2)健康機能性を訴求する米のブームの変遷
健康機能性を訴求する米商品群の市場は、消費者ニーズに支えられた成長カテゴリーだけに競争も激化しています。市場変遷をみると、2000年頃から03年頃の発芽玄米ブーム、08年頃の雑穀ブームに加えて、近年では、18年頃のもち麦人気や玄米人気が高まってきております。さらに、コロナ禍の巣ごもり需要における家庭内での健康志向も追い風となり、その後も伸長が続いています。
こうした商品は、その時々の時流に左右されがちではあるものの、各カテゴリーともに根強いファン層も少なからず形成されているようで、継続的な摂取が必須な商品群については、体験口コミの情報拡散がさらなる消費行動の喚起にもつながっているようです。社会に拡散される体験口コミでは、商品としてのおいしさも一定程度重要視されるもので、機能性と両立できている商品は強い商品力となっているようです。
2健康機能性を訴求する米の市場拡大戦略
おいしさの基準もその食品を摂取する人により、その場により変化するほか、周囲の環境によっても変化していくものです。提供するサプライヤーの課題は当初、見た目も味も白米にいかに近づけるかということでしたが、最近の健康志向で注目される米については、具体的な機能性成分を訴求するなど、白米の消費者選択基準とは異なっているようです。たとえば、玄米らしさや雑穀らしさを強調した商品の方が好まれる傾向にあります。
(1)食べやすい玄米
玄米のぬか層にはビタミンやミネラルが多く含まれているといわれており、玄米からぬか層を除去した精白米は、それらのビタミンやミネラルも一緒に取り除かれてしまいます。 しかし、精白米は、炊飯もしやすく食感も好まれる傾向があります。一方でぬか層が残っている玄米については健康機能性成分が多いものの、精白米より長い時間炊飯する必要があることや、硬い食感を感じる傾向もあることから、「玄米は食べにくい」というイメージを持たれていることもあるようです。
健康志向で注目される米として、健康機能性成分を訴求する商品群の市場は拡大しているものの、さらなる市場拡大のためには、たとえば玄米であれば、健康に資する機能性を消費者にわかりやすく伝える地道な努力に加え、「食べやすい玄米」のための技術開発も求められます。そのことに挑戦している商品事例として、東洋ライスが発売している「金芽ロウカット玄米」があげられます1)。同社の独自技術により玄米表面のロウ層を除去することで、玄米の栄養価を保持しつつも白米のように炊きやすく、柔らかな食感の食べやすさを実現しました。大学や病院、老人保健施設などを通して機能性成分の解明や効果実証などの普及啓発活動を行うと同時に、この利点を広く訴求しようとTVCMも積極的に投入し、玄米商品群そのものの市場拡大にも貢献しています。
その結果、前期(2022年度)まで5年連続、POSデータ(KSP-SP)で玄米カテゴリー首位を達成し、白米を含める米カテゴリー全体(約2,900アイテム)の売上げランキングでも上位となっており、大手流通の間では米飯惣菜の商品化も進んでいます。
(2)白米同様に炊ける玄米
高機能玄米協会は、家庭の炊飯器で白米と同様に炊いておいしく食べられることをPRポイントとし、高栄養を兼備した玄米食専用品種「金のいぶき」の戦略的活用に取り組むなかで、マーケティング活動・PR活動・普及啓発活動を行うため「(株)金のいぶき」を立ち上げました。
多様な商品開発や外食・給食・中食など多方面の利用、PR活動、機能性研究、農家と取り組んだ生産に関する研究などを進めており、米穀業界で商品化が進むとともに、コンビニエンスチェーンでおにぎりの商品開発が行われるなど、玄米の市場開拓に貢献している事例もあります。
(3)ご飯に混ぜる精麦
大麦やもち麦などの穀物加工食品メーカー・はくばくは、大麦やもち麦などの健康機能性の解明や情報を発信するプロセスで、多くの研究者や料理研究家など情報発信力のあるメンバーを巻きこんでいます。結果、テレビ番組や雑誌を中心に大麦やもち麦の健康効果が盛んにメディアで報道され、大麦やもち麦を米に混ぜて食べるという、ご飯食の新たな食べ方を消費者に提案し、市場を開拓していった事例もあります。
(4)簡便な加工品
需要の裾野拡大には加工品の商品開発も不可欠です。はくばくのもち麦や雑穀入りパックご飯に、東洋ライスでは金芽ロウカット玄米や金芽米のほか米粉事業にも参入し、「金芽ロウカット玄米の米粉」と「金芽米の米粉」2品の商品化に成功。米粉の健康価値向上にもつなげています。
近年では、超硬質米の有用性についての研究知見が蓄積されているほか、グルテンフリーに関する知見、米タンパク質の機能性知見、米飯食の食事パターンと血清脂質との関連性についてのコホート研究、玄米の非アルコール性脂肪肝改善作用についての研究も進められており、詳細については次節以降に紹介していきます。
参考文献
- 金芽ロウカット玄米(東洋ライス(株))
https://www.toyo-rice.jp/genmai/[外部リンク]
